日本(にほん)で働(はたら)くことを考(かんが)えたとき、「特定技能」と「技能実習」というビザの名前(なまえ)を聞(き)いたことがある人(ひと)は多(おお)いのではないでしょうか。でも、この2つはどこが違うの?どっちが自分(じぶん)に合(あ)っているの?と迷(まよ)ってしまう人もたくさんいます。
この記事(きじ)では、特定技能と技能実習の違いを、わかりやすくていねいに説明(せつめい)します。給料(きゅうりょう)の違い、仕事(しごと)を変(か)えられるかどうか、家族(かぞく)を日本に呼(よ)べるかどうかなど、あなたにとって大切(たいせつ)な情報(じょうほう)を一(ひと)つずつ見(み)ていきましょう。
まず「技能実習」とはどんな制度(せいど)?

技能実習制度は、1993年(ねん)に始(はじ)まった制度です。もともとは、日本の技術(ぎじゅつ)や知識(ちしき)を発展途上国(はってんとじょうこく)の人たちに学(まな)んでもらい、その国の成長(せいちょう)に役立(やくだ)ててもらうという目的(もくてき)で作られました。しかし実際(じっさい)には、日本で働きたい外国人(がいこくじん)と、働き手(はたらきて)が足(た)りない日本の会社(かいしゃ)をつなぐ役割(やくわり)を果(は)たしてきました。技能実習では、あなたは「労働者(ろうどうしゃ)」ではなく「研修生(けんしゅうせい)」という立場(たちば)で日本に来ることになります。そのため、「学ぶための制度なのに、実際は労働(ろうどう)ではないか」という声(こえ)も長年(ながねん)ありました。
期間(きかん)は3つの段階(だんかい)に分かれています。最初(さいしょ)の1年間(いちねんかん)は「技能実習1号(いちごう)」で、仕事の基本(きほん)を学ぶ期間です。技術が認(みと)められると「技能実習2号(にごう)」に進(すす)み、そこからさらに2年間、合計(ごうけい)3年間日本にいられます。その後(ご)、国(くに)が認めた「優良(ゆうりょう)な受(う)け入(い)れ機関(きかん)」であれば「技能実習3号(さんごう)」に進むことができ、さらに2年間、合計5年間日本で働くことができます。
💡 ポイント:技能実習は最長(さいちょう)5年間、日本で働くことができます。
技能実習で働ける主(おも)な分野(ぶんや)の例(れい)
農業(のうぎょう):野菜(やさい)や果物(くだもの)の収穫(しゅうかく)・栽培(さいばい)など
漁業(ぎょぎょう):魚(さかな)のとり方(かた)や加工(かこう)など
建設(けんせつ):大工(だいく)仕事、鉄筋(てっきん)組み立(た)てなど
食品製造(しょくひんせいぞう):お菓子(かし)やお弁当(べんとう)の製造など
機械(きかい)・電気(でんき):工場での部品(ぶひん)組み立て作業(さぎょう)など
これ以外にも、約80種類(やく80しゅるい)以上(いじょう)の仕事があります。
「特定技能」とは何か?

特定技能制度は、2019年4月(しがつ)に始まりました。日本では少子高齢化(しょうしこうれいか)の影響(えいきょう)で、介護(かいご)・建設・農業など多くの分野で働く人が足りなくなっています。そこで、外国人に正式(せいしき)に働いてもらうために作られたのが、この制度です。
特定技能にも2つの種類(しゅるい)があります。「特定技能1号」は最長5年間日本で働けますが、家族を日本に呼ぶことは原則(げんそく)できません。一方(いっぽう)、「特定技能2号」には期間の制限(せいげん)がなく、何度(なんど)でも更新(こうしん)できます。家族を日本に呼ぶこともできますし、将来的(しょうらいてき)には永住権(えいじゅうけん)の申請(しんせい)も目指(めざ)せます。
💡 ポイント:特定技能2号は、日本で長期的(ちょうきてき)に暮(く)らしたい人に向いています。
特定技能で働ける主(おも)な分野(ぶんや)
介護(かいご)
建設(けんせつ)
農業(のうぎょう)
漁業(ぎょぎょう)
飲食料品製造業(いんしょくりょうひんせいぞうぎょう)
外食業(がいしょくぎょう)
宿泊(しゅくはく)(ホテルなど)
造船(ぞうせん)・舶用工業(はくようこうぎょう)
自動車整備(じどうしゃせいび)
素形材(そけいざい)・産業機械(さんぎょうきかい)製造業 など
2つの制度を比べてみると
| 比較(ひかく)する項目(こうもく) | 技能実習(ぎのうじっしゅう) | 特定技能(とくていぎのう) |
|---|---|---|
| 在留期間(ざいりゅうきかん) | 最長5年(1号・2号・3号) | 1号:最長5年、2号:制限(せいげん)なし |
| 目的(もくてき) | 技術(ぎじゅつ)の習得(しゅうとく)・移転(いてん) | 日本の労働力(ろうどうりょく)不足(ふそく)の解消(かいしょう) |
| 仕事(しごと)の変更(へんこう) | 原則(げんそく)できない | 同じ分野(ぶんや)内ならできる |
| 家族(かぞく)の同行(どうこう) | できない | 1号:できない、2号:できる |
| 給料(きゅうりょう) | 最低賃金(さいていちんぎん)以上(いじょう) | 日本人と同等(どうとう)以上(いじょう) |
| 日本語(にほんご)の試験(しけん) | 原則なし(入国後(にゅうこくご)に研修) | JLPT N4レベル以上の試験が必要(ひつよう) |
| 技能(ぎのう)の試験 | なし(入国後に研修) | 各分野(かくぶんや)の技能試験(ぎのうしけん)に合格(ごうかく)が必要 |
| 受(う)け入(い)れ機関(きかん) | 「監理団体(かんりだんたい)」を通(とお)す場合が多い | 直接(ちょくせつ)雇用(こよう)または登録支援機関(とうろくしえんきかん) |
お給料(きゅうりょう)の違い:実際(じっさい)はどれくらいもらえる?
技能実習生(じっしゅうせい)の給料は、法律(ほうりつ)で「最低賃金(さいていちんぎん)以上」と決められています。日本の最低賃金は地域(ちいき)によって違いますが、全国平均(ぜんこくへいきん)で時給(じきゅう)は1,000円前後(えんぜんご)(2024年時点(じてん))です。ただし、寮費(りょうひ:住む場所のお金)や食費(しょくひ)が給料から引(ひ)かれて手元(てもと)に残(のこ)るお金が少なくなることや、残業代(ざんぎょうだい)が正(ただ)しく払(はら)われないこと、監理団体に「管理費(かんりひ)」を払う必要がある場合があることなど、過去(かこ)に問題点(もんだいてん)が報告(ほうこく)されたこともあります。
一方、特定技能では「同じ仕事をしている日本人の給料と同じか、それ以上を払わなければならない」というルールがあります。これは「同等報酬要件(どうとうほうしゅうようけん)」と呼ばれています。たとえば、同じ工場で同じ作業(さぎょう)をしている日本人が時給1,200円なら、特定技能の人も最低1,200円もらわなければなりません。特定技能のほうが、給料についてのルールがより明確(めいかく)で、守られやすい仕組(しく)みになっていると言えるでしょう。
仕事を変えられる?転職(てんしょく)ルールの違い
この点(てん)は、2つの制度でとても大きな違いがあります。技能実習生は、受け入れてくれた会社(受入企業(うけいれきぎょう))を変えることが原則できません。会社が変わると「技能実習の目的が達成(たっせい)できない」とみなされるからです。会社が倒産(とうさん)したり、働く環境(かんきょう)がとても悪(わる)かったりするなど特別(とくべつ)な理由(りゆう)がある場合は受け入れ先(さき)を変えられますが、「給料が安い」「もっと良い会社に行きたい」という理由では原則として認(みと)められません。
一方、特定技能の在留資格(ざいりゅうしかく)を持っている人は、同じ分野の仕事(たとえば農業から農業、飲食店(いんしょくてん)から飲食店など)であれば、会社を変えることができます。日本人の会社員(かいしゃいん)と同じように転職できるということです。これは特定技能の大きなメリットで、より良い条件(じょうけん)の職場(しょくば)を自分で選(えら)ぶことができます。
家族(かぞく)を日本に呼(よ)べる?
| 制度(せいど) | 家族の呼び寄(よ)せ |
|---|---|
| 技能実習1号・2号・3号 | できない |
| 特定技能1号 | できない(原則) |
| 特定技能2号 | できる(配偶者(はいぐうしゃ)・子(こ)ども) |
技能実習生と特定技能1号の人は、基本的(きほんてき)に家族を日本に呼ぶことができません。これは、あくまで「一時的(いちじてき)な就労(しゅうろう)」という位置(いち)づけだからです。
しかし、特定技能2号を取得(しゅとく)した人は、配偶者(はいぐうしゃ:夫または妻(つま))と子どもを日本に呼ぶことができます。さらに、特定技能2号は在留期間の制限がないため、将来(しょうらい)的に日本で永住(えいじゅう)することも視野(しや)に入れた生活(せいかつ)の設計(せっけい)が可能(かのう)です。
技能実習から特定技能に「移行(いこう)」できる?
はい、できます。これは多くの人にとって、とても良い仕組みです。通常(つうじょう)、特定技能1号を取得するには、日本語能力試験(にほんごのうりょくしけん)でN4レベル以上(または「日本語基礎テスト」)に合格することと、各分野の技能評価試験(ぎのうひょうかしけん)に合格することの、2つの試験に合格する必要があります。しかし、技能実習2号を修了(しゅうりょう)した人は、これらの試験が免除(めんじょ)されます。つまり、技能実習で3年間しっかり仕事を続(つづ)けた人は、そのまま試験なしで特定技能1号に移行できるのです。
移行の流(なが)れは、まず技能実習2号を修了し(最初の3年間を終えたあと)、在留資格を「特定技能1号」に変更する申請(しんせい)をします。審査(しんさ)が通れば、特定技能1号として最長5年間さらに働くことができます。このルートを使えば、合計最長8年間(3年間+5年間)、日本で働き続けることができます。
制度の改革(かいかく):技能実習は新しい制度に変わる
2024年、日本の国会(こっかい)で「技能実習制度を廃止(はいし)して、新しい制度(制度名:育成就労(いくせいしゅうろう))に変える」という法律が通りました。新しい制度は2027年ごろから本格的(ほんかくてき)に始まる予定(よてい)です。育成就労では、制度の目的が「労働力の確保(かくほ)」と「外国人の育成(いくせい)」に変わり、3年間の就労後は特定技能1号への移行を目指す仕組みになります。また、一定(いってい)の条件のもとで、就労中(しゅうろうちゅう)の転職も認められるようになる見通(みとお)しです。現在(げんざい)すでに技能実習中の人や、これから技能実習を考えている人は、この制度変更(せいどへんこう)についても情報を集めておくことが大切です。
よくある質問(しつもん)
Q:特定技能の試験(しけん)は難しいですか?
A:試験の難しさは分野(ぶんや)によって違います。日本語の試験はJLPT N4レベル(日常的(にちじょうてき)な日本語が理解(りかい)できるレベル)が目安(めやす)です。技能の試験は、仕事の基本的(きほんてき)な知識(ちしき)と実技(じつぎ)が問われます。過去問(かこもん)や練習(れんしゅう)テキストが公開(こうかい)されていますので、しっかり準備(じゅんび)すれば合格(ごうかく)できる人が多いです。前述(ぜんじゅつ)のとおり、技能実習2号修了者(しゅうりょうしゃ)は試験が免除(めんじょ)されます。
Q:技能実習から特定技能に変えるとき、帰国(きこく)しなければなりませんか?
A:原則(げんそく)として、帰国しなくても日本国内(こくない)で在留資格(ざいりゅうしかく)の変更(へんこう)手続きができます。ただし、雇用(こよう)してくれる会社(雇用主(こようぬし))が変わる場合は、新しい雇用契約書(こようけいやくしょ)などの書類が必要になります。手続きの詳(くわ)しい流れは、出入国在留管理庁(しゅつにゅうこくざいりゅうかんりちょう)のウェブサイト、または支援機関(しえんきかん)に確認(かくにん)してください。
Q:特定技能2号になるにはどうすればいいですか?
A:特定技能2号を取得(しゅとく)するためには、特定技能1号として働きながら、さらに高いレベルの技能(ぎのう)試験(しけん)に合格する必要があります。また、現在(げんざい)は特定技能2号が認められている分野と認められていない分野があります。自分が働いている分野が対象(たいしょう)かどうか、事前(じぜん)に確認しておくことが大切です。
どっちが自分に合っている?

ここまでの内容(ないよう)をふまえて、自分に合う制度を考えてみましょう。日本語や技能の試験がまだ難しいと感じる人、決まった会社で仕事を学びながら日本での生活に慣(な)れたい人、まず3年間日本で働いてから次のステップを考えたい人には、技能実習が向いているかもしれません。反対(はんたい)に、ある程度(ていど)日本語ができる人(JLPT N4レベル以上を目指している人)、転職の自由を大切にしたい人、将来家族を日本に呼びたい、または日本に長く住みたい人、技能実習を修了して次のステップに進みたい人には、特定技能が向いているでしょう。
どちらの制度も、日本で働くための大切な道(みち)です。自分の目標(もくひょう)に合わせて、よく考えてから選ぶようにしましょう。また、制度の詳しい内容は変わることがあるため、信頼(しんらい)できる支援機関や、日本の出入国在留管理庁の公式サイトで、最新(さいしん)の情報を確認することをおすすめします。
