日本に住(す)んでいる外国人(がいこくじん)のみなさん、美容院や床屋に行くとき、緊張(きんちょう)していませんか。「自分(じぶん)のしたい髪型をうまく説明(せつめい)できないかもしれない」「美容師(びようし)さんの言葉(ことば)がわからなかったらどうしよう」。こう思っている人はとても多いです。
でも、安心(あんしん)してください。難(むずか)しい敬語(けいご)や専門用語(せんもんようご)を使う必要(ひつよう)はありません。大切(たいせつ)なのは「短(みじか)く、はっきりと伝えること」だけです。この記事(きじ)では、希望の髪型を伝えるためのやさしい日本語を、会話(かいわ)の例(れい)と一緒(いっしょ)に紹介(しょうかい)します。読み終わるころには、次(つぎ)のカットが楽(たの)しみになっているはずです。
髪の場所を表す言葉を覚えよう

「どこを」切ってほしいのか、場所の名前を覚えておくと安心です。ここを間違(まちが)えると、思ったところと違(ちが)う場所を切られてしまうことがあります。顔(かお)の前にある髪は「前髪(まえがみ)」と呼(よ)びます。目(め)や眉毛(まゆげ)、おでこのあたりの髪のことで、長さによって印象(いんしょう)が大きく変(か)わる大切な部分(ぶぶん)です。耳(みみ)の横(よこ)にある髪は「サイド」とも呼ばれます。「耳にかかるくらい」「耳が出るくらい」のように、耳を基準(きじゅん)にして伝えるとわかりやすいです。耳の前であごに向かって生(は)えている短い髪は「もみあげ」と言い、男性(だんせい)のカットでよく使う言葉です。
頭(あたま)の後(うし)ろ、首(くび)の後ろにある髪は「後ろ」や「バック」と呼びます。自分では見えない場所なので、言葉でしっかり伝えることが特に大切です。カットのあとに美容師さんが鏡(かがみ)で見せてくれるので、そのときに確認(かくにん)しましょう。後ろの髪の一番下、首に近い部分は「えり足」または「襟足(えりあし)」と言います。ここを短く刈(か)り上げるか長めに残(のこ)すかで、スタイル全体(ぜんたい)の印象がかなり変わります。頭の一番上の部分は「トップ」と呼ばれ、ボリュームを出したいときや、反対(はんたい)にペタッとさせたいときによく使う言葉です。
「どうしてほしいか」を伝える言葉
場所の言葉がわかったら、「どうしてほしいか」を伝えます。難しい敬語は使わずに、シンプルに「〜てください」の形(かたち)を使いましょう。
切(き)って ください
長さを短くしてほしいときに使う、一番よく使う基本(きほん)の言葉です。
「全体(ぜんたい)を 3センチくらい 切ってください。」
「後(うし)ろを 2センチ 切ってください。」
「前髪(まえがみ)は 目(め)の 上(うえ)まで 切ってください。」
「横(よこ)は 耳(みみ)が 出るくらいに 切ってください。」
長さを「センチ数(すう)」または「体(からだ)の場所」を基準にして言うと、とても伝わりやすくなります。
すいて ください / 軽(かる)く して ください
髪の長さはあまり変えたくないけれど、ボリューム(量(りょう))を少なくしたいときに使います。日本の夏(なつ)はとても暑(あつ)いので、この言葉を覚えておくと便利です。
「髪(かみ)の量(りょう)が多(おお)いので、すいてください。」
「全体を 軽くしてください。」
「後ろのほうを すいてください。」
整(ととの)えて ください
長さや形は今のままでよくて、伸(の)びてボサボサになった部分だけをきれいにしてほしいときに使います。
「長さは変えないで、整えてください。」
「前髪だけ 整えてください。」
刈(か)り上(あ)げて ください
主(おも)に男性の髪型で、バリカンやハサミを使って、横や後ろの髪をとても短く(地肌(じはだ)が少し見えるくらいに)するときに使います。
「横と後ろを 刈り上げてください。」
「下のほうをスッキリ 刈り上げてください。」
染(そ)めて ください / カラーを して ください
髪の色を変えたいときに使います。美容院では「カラー」という言葉をよく使います。
「明(あか)るい茶色(ちゃいろ)に 染めてください。」
「黒(くろ)く 染めてください。」(黒髪(くろかみ)に戻(もど)したいとき)
「白髪(しらが)を 染めてください。」(白い髪を隠(かく)したいとき)
パーマを かけて ください
髪を波(なみ)の形にしたり、くるくるのカールにしたりして、おしゃれにしたいときに使います。
「全体に 弱い(よわい) パーマを かけてください。」
「トップにボリュームが出るように パーマを かけてください。」
パーマは時間(じかん)がかかることが多いので、予約(よやく)のときに「パーマをしたい」と伝えておくと安心です。
そのままで いいです / 変(か)えないで ください
そこは切らなくていい、今の形のまま触(さわ)らないでほしいというときに使います。
「前髪(まえがみ)は そのままでいいです。」
「横(よこ)の長さは 変えないでください。」
一番わかりやすい方法は「写真(しゃしん)を見せること」
言葉だけで髪型を説明するのは、実(じつ)は日本人にとっても難しいことです。「少し切る」の「少し」が、あなたにとっては1センチでも、美容師さんにとっては3センチかもしれないからです。イメージのズレを防(ふせ)ぐ一番確実(かくじつ)な方法は、写真を見せることです。
InstagramやPinterest、Google画像(がぞう)検索(けんさく)などで、自分のしたい髪型の写真を事前(じぜん)に探(さが)しておきましょう。席(せき)に座(すわ)ったら、スマートフォンでその写真を見せながら「この写真のようにしてください」と言えば、美容師さんは全体のシルエットや長さを一目(ひとめ)で理解(りかい)できます。写真と完全(かんぜん)に同じではなく少しだけ変えたいときは、写真を指(ゆび)でさしながら「全体の形はこの写真のようにしてください。でも、前髪はこれより少し短くしてください」のように付け加(つけくわ)えるとよいでしょう。正面(しょうめん)・横・後ろの写真があるとより正確(せいかく)に伝わりますし、自分の髪の太さ(ふとさ)や量、くせが写真の人と違うこともあるので、「私の髪でもこの形にできますか」と聞いてみるのもおすすめです。
お店での会話の例

実際のお店で、どのような会話が行(おこな)われるかを見てみましょう。
全体を短くして、軽くしたいとき
店員(てんいん):「今日(きょう)は どう しますか?」
お客さん:「全体を 3センチくらい 切ってください。前髪は 目の上まで 切ってください。」
店員:「わかりました。髪の量は 減(へ)らしますか?」
お客さん:「はい、多いので 少し 軽くしてください。」
店員:「シャンプーの強さは 大丈夫(だいじょうぶ)ですか?」
お客さん:「はい、ちょうどいいです。」
写真を見せてお願いするとき
店員:「今日はどんな髪型にしますか?」
お客さん:(スマホの画面を見せながら)「この 写真のように してください。」
店員:「なるほど!横の長さは耳にかかるくらいですが、これでいいですか?」
お客さん:「横はそのままでいいです。でも、後ろはもう少し短くしてください。」
店員:「わかりました。後ろを少しスッキリさせますね。」
床屋(とこや)で刈り上げにするとき
店員:「今日はどうされますか?」
お客さん:「暑いので、短くしたいです。横と後ろを 刈り上げてください。」
店員:「バリカンは何ミリにしますか?6ミリ、9ミリなどがあります。」
お客さん:「6ミリでお願いします。上の髪は少しすいてください。」
店員:「わかりました。もみあげはどうしますか?」
お客さん:「自然(しぜん)に整えてください。」
美容師さんからよく聞かれる質問
カットの途中(とちゅう)や最後(さいご)に、美容師さんからいくつか質問をされることがあります。よく使われる質問を知っておけば、焦(あせ)らずに答えることができます。
| 質問(しつもん) | いつ聞かれる? | 答え方の例(れい) |
|---|---|---|
| 「お痒(かゆ)いところは ありませんか?」 | シャンプーのとき | 「大丈夫(だいじょうぶ)です。」/ 「後ろのほうを もう少し 洗(あら)ってください。」 |
| 「お湯(ゆ)の温度(おんど)は 大丈夫ですか?」 | お湯をかけ始めたとき | 「ちょうどいいです。」/ 「少し熱(あつ)いです。」/ 「少し冷(つめ)たいです。」 |
| 「力加減(ちからかげん)は いかがですか?」 | マッサージのとき | 「ちょうどいいです。」/ 「少し痛(いた)いです。」/ 「もう少し強(つよ)くしてください。」 |
| 「長さは これくらいで いいですか?」 | カット後に鏡で確認するとき | 「はい、これでいいです!」/ 「もう少し短くしてください。」 |
| 「ワックスはつけますか?」 | 仕上(しあ)げのとき | 「はい、お願いします。」/ 「つけなくていいです。」 |
覚えておくと便利な言葉
| 言葉(ことば) | 意味(いみ)と使い方(つかいかた) |
|---|---|
| ワックス / ジェル | 髪型を固(かた)めるためのクリームや液体(えきたい)のことです。 |
| ドライヤー | 髪を乾(かわ)かす機械(きかい)のことです。 |
| バリカン | 横や後ろを短く刈り上げるときに使う電気(でんき)のカッターです。 |
| 分(わ)け目(め) | 髪を右(みぎ)と左(ひだり)に分けるときの線(せん)のことです。 |
| おまかせで | 「美容師さんのおすすめの形にしてください」という意味です。(例:「似合(にあ)うように おまかせで お願いします。」) |
| 仕上(しあ)がり | カットが完成(かんせい)した状態(じょうたい)のことです。 |
| 指名料(しめいりょう) | 特定(とくてい)の美容師さんを選(えら)ぶときにかかる追加(ついか)のお金です。 |
| ヘアカタログ | 髪型の見本(みほん)写真が載(の)っている本やサイトのことです。 |
トラブルを防(ふせ)ぐための3つのポイント
日本の美容院や床屋はとても技術(ぎじゅつ)が高く、親切(しんせつ)ですが、言葉の壁(かべ)でトラブルが起(お)きることもあります。次の3つを心(こころ)に留(と)めておくと、後悔(こうかい)のないカットになります。
まず、わからないときは「はい」と言わないことです。美容師さんの言葉が聞き取れなかったとき、恥(は)ずかしくて思わず「はい」と言ってしまうことがあります。でも、それが「もっと短く切ってもいいですか」という質問だった場合、髪が思ったよりずっと短くなってしまうかもしれません。わからないときは、必(かなら)ず「すみません、もう一度(いちど)言(い)ってください」や「それは、どういう意味ですか」と聞き返しましょう。これは全く失礼(しつれい)ではなく、美容師さんも「わかってもらえてよかった」と感じてくれます。
次に、料金(りょうきん)は最初(さいしょ)に確認しておきましょう。カットだけでなく、シャンプー・カラー・パーマを重(かさ)ねると、お金が高くなりますし、特定の美容師さんを選ぶための「指名料」がかかることもあります。心配なときは、「全部(ぜんぶ)でいくらですか」と最初に聞いておくと安心です。
最後に、どうしても話すのが不安な場合は、メモを書いて持(も)っていくのもとてもよい方法です。「全体を2センチ切ってください」「髪の量を少なく(軽く)してください」「前髪は眉毛の下まで切ってください」のように紙(かみ)に書いておけば、言葉が出なくても希望がしっかり伝わりますし、事前に書くことで自分の気持ちも整理(せいり)でき、緊張も少なくなります。
笑顔(えがお)で「〜てください」と言ってみよう!

日本の美容院や床屋に行くことは、日本語のよい練習(れんしゅう)にもなります。「ハサミの法則」ではっきり・さいごまで・みじかく言うこと、前髪や横、後ろ、えり足といった場所の言葉を覚えること、「切ってください」「すいてください」「そのままでいいです」のように、どうしてほしいかをはっきり伝えること。そして、一番安心なのはスマートフォンの写真を見せることで、わからないときは「もう一度言ってください」と聞き返せば大丈夫です。
「〜ます」「〜てください」という丁寧(ていねい)な言葉を使えば、あなたの気持ちは美容師さんにしっかり伝わります。リラックスして、笑顔でお話ししてみましょう。新(あたら)しい素敵(すてき)な髪型になって、日本での毎日(まいにち)をもっと楽しんでくださいね。
